髪を守るための「浸透圧」と「前処理」の重要性

仕事
Screenshot

髪を守るための「浸透圧」と「前処理」の重要性

髪を傷めずに美しく仕上げるために必要なこと。それは、髪の内部成分を守りながら、理想的なパーマやカラーを実現することです。今回は、お漬物の理論にも例えられる「浸透圧」の考え方を活用し、髪のダメージを抑えるための前処理の重要性についてお話しします。

浸透圧の基本原理を髪に応用する

おばあちゃんの手作りたくあんを水で洗うと、旨味や塩分が抜けてしまう。でも濃い塩水で洗えば、味を損なわずに汚れを落とせる。この現象は、浸透圧の原理を利用した結果です。

Screenshot

髪の施術でも同じように、外部の薬剤と髪内部の濃度差による浸透圧が重要になります。髪にはケラチンやCMC(細胞間脂質)といった重要な成分が含まれていますが、パーマやカラーを行う際にこれらが外に流出してしまうと、髪が乾燥したり、ガサガサになったりする原因になります。この流出を防ぐには、髪内部と外部の濃度差をコントロールする前処理が欠かせません。

パーマやカラーで髪が傷む理由

パーマやカラー剤にはアルカリ剤と還元剤が含まれています。これらが髪内部に浸透すると髪が膨潤し、薬剤が働きやすくなる一方で、髪内部の重要な成分であるケラチンやCMCが流出してしまう可能性があります。

特に、年齢を重ねた髪ではCMCの量が減少(約1/8!?)しており、若い髪よりもダメージを受けやすくなっています。そのため、施術前の前処理によって髪を保護することが必要です。

Screenshot

浸透圧を利用した髪の保護方法

  1. 濃度を整える前処理剤の使用
    髪表面にPPT(加水分解ケラチン)やCMCミストなどを塗布することで、髪の外側の濃度を高めます。これにより、髪内部から成分が流れ出るのを防ぎます。
  2. Screenshot

  3. 浸透圧の調整
    髪の内部濃度より高い濃度の前処理剤を使うことで、薬剤の浸透をコントロールし、内部成分の流出を抑えます。
  4. 施術後のケア
    パーマやカラー後には、残留するアルカリや還元剤をしっかり中和し、髪のpHバランスを整えることが重要です。

前処理の効果を示す実験

実験では、前処理なしで髪をアルカリ剤と還元剤に浸した場合、髪内部の成分が大量に抜け出して水が濁る結果になりました。一方、CMCミストなどで前処理を行った髪では、同じ条件でも成分の流出が大幅に抑えられました。この結果は、浸透圧を利用した前処理の有効性を証明しています。

まとめ:髪を守る施術の基本

パーマやカラーを施術する際、お客様の髪を健康的に保つためには、科学的な知識に基づいた前処理が重要です。浸透圧を理解し、適切な処理を行うことで、髪内部の成分を守りながら美しい仕上がりを実現することができます。

美容師として、お客様の大切な髪を守るために、このような知識を活かしていきたいと思います。ぜひ、この「浸透圧」の考え方を取り入れて、より良い施術を提供してみてください。

コメント