パーマの「オーバータイム」を理解する:髪を守るための基礎知識
パーマ施術を行う際、注意すべき「オーバータイム」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、パーマ液をつけて約20分を過ぎると発生する現象で、髪にとって重要な影響を与えるタイミングを指します。今回は、この「オーバータイム」の理論と、髪への影響を最小限にする施術方法について解説します。
オーバータイムとは?
パーマ液には還元剤が含まれており、これが髪のSS結合を切ったり再結合させる働きをします。このプロセスによって髪にウェーブがかかるわけですが、時間が経過すると「オーバータイム期」に入ります。このタイミングで髪の中では、以下のような現象が起こります。
- SS結合が不完全な状態で再結合する
還元剤が髪の中のS(硫黄)と結びつき、「混合ジスルフィド」と呼ばれる元々存在しなかった結合が生まれる。 - 髪の強度が低下する
混合ジスルフィドが増えることで、髪の本来のSS結合が減少し、髪の強度が弱くなる。 - 匂いの残留
混合ジスルフィドが多いと、髪に還元剤の独特な匂いが残りやすくなる。
オーバータイムが髪に与える影響
オーバータイム期を過ぎた髪は、以下のような問題が生じる可能性があります:
- 髪のダメージが増加
SS結合が不完全な状態では、髪の構造が弱くなり、後の施術(特にカラーリングや追加のパーマ)でさらにダメージを受けやすくなります。 - 髪の膨潤が激しくなる
次回の施術時に、髪が過剰に膨潤し、切れ毛や枝毛が増える原因となります。 - 痩せ髪への影響が顕著
もともとSS結合が少ない髪(痩せ髪や加齢毛)は、ダメージを受けやすく、状態が悪化しやすい。
髪を守るための施術方法
お客様の髪を守り、満足いただける仕上がりにするためには、オーバータイム期を避ける施術が重要です。
- 施術時間を厳守する
パーマ液の放置時間は20分を目安とし、それ以上の時間が経過しないように注意します。 - 髪の状態を確認する
髪質やダメージの程度を見極め、必要以上に薬剤を浸透させないようにします。 - ダメージリスクを説明する
パーマ後すぐにカラーリングを希望するお客様には、髪の負担が増える可能性を伝え、十分なインターバルを取ることをおすすめします。
まとめ:オーバータイムを意識したパーマ施術
オーバータイムを理解し、施術時間をコントロールすることは、髪を守るための基本です。特に、痩せ髪やダメージが蓄積している髪では、時間管理が施術結果に大きく影響します。
髪を健康に保ちながら理想のスタイルを提供するために、オーバータイムの理論を日々の施術に活かしていきましょう。お客様の髪を守り、信頼を築くための一歩として、この知識をぜひ取り入れてみてください。
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