髪の健康を守る鍵:キューティクルとアルカリ処理の重要性
髪の毛を守る18メチルエイコ酸酸の役割
髪の毛のキューティクルには、18メチルエイコ酸酸(18-MEA)と呼ばれるCMCの一種が存在し、これが髪の表面に皮脂を運ぶ役割を果たしています。

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18-MEAはキューティクル表面でニョロニョロとした形状をしており、皮脂が根元から毛先へと移動することで、髪全体に潤いとツヤを与えます。シャンプー後に時間が経つと髪がしっとりしてくるのは、この皮脂の運搬機能のおかげです

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アルカリ剤が与える影響
しかし、パーマやカラーのアルカリ剤によって、髪の表面の18-MEAやCMCが溶け出してしまいます。アルカリ剤が髪に残ったままだと、施術後もゆっくりとCMCを溶かし続け、お客様が毎日シャンプーするたびにCMCが流出してしまうのです。この状態が1週間続くと、髪の内部に空洞が生まれ、乾燥しやすく、ツヤも失われます。

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髪に穴が開くことで起こる現象
髪の内部に穴が開くと、光が内部で乱反射してツヤがなくなり、乾燥が進むことでパサつきや広がりが目立つようになります。例えサロンで適切な施術を行ったとしても、アルカリ剤が髪に残っている限り、ダメージは自宅に帰った後も進行し続けるのです。

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等電点に戻す重要性
髪の健康を守るためには、施術後に髪を等電点(pH4.5~5.5)に戻すことが不可欠です。等電点に戻すことでキューティクルが引き締まり、髪の内部にバリア機能が形成され、ダメージの進行を防ぎます。これにより、髪の乾燥やツヤの喪失、カラーのくすみ、ウェーブの崩れ、トリートメントの持続性低下といったトラブルを防げます。
後処理の大切さ
近年、施術時間の短縮(時短)が求められることが増えましたが、それによって後処理を省略すると、結果的にお客様の髪をダメージにさらすことになります。美容師として、お客様の髪を守るためには、施術後にアルカリ剤や還元剤をしっかりと除去し、髪を等電点に戻すことが重要です。これにより、お客様が自宅でシャンプーをしても、髪のCMCが流出せず、美しい状態を長く保つことができます。
まとめ
施術後の適切な後処理は、お客様の髪の健康を守るために不可欠です。アルカリ剤をしっかりと除去し、髪を等電点に戻すことで、乾燥やツヤの喪失、カラーの褪色、ウェーブの崩れなどを防ぎ、トリートメント効果を長持ちさせます。これにより、お客様は自宅でも美しい髪を維持できるようになります。美容師として、お客様の髪を守るために、後処理の重要性を再確認し、施術に活かしていきましょう。
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