縮毛矯正でビビリ毛になった髪へ。まず必要なのは「直す」より、明日から人に会える状態に戻すこと

補修処理とアイロン後に中間から毛先の見え方を整えた仕上がり HairUnknownのポリシー

今回のご相談は、縮毛矯正後に髪がチリつき、特に前髪・顔周り・襟足の内側が扱いにくくなってしまったお客様です。

最初にお伝えしたいのは、こういう状態になった時に、お客様が怒ったり、悲しくなったり、不安になるのは当然だということです。

髪は、毎日鏡で見ます。

お風呂に入って、乾かして、アイロンをして、会社へ行く前に確認して、人に会う前にまた気になってしまう。

そのたびに「あの時の施術からこうなった」と思い出してしまうと、髪のダメージだけではなく、気持ちまで削られてしまいます。

だからこの症例は、単に「ビビリ毛をどうするか」という技術の話だけではありません。

今まで我慢してきた気持ちを受け止めた上で、これ以上悪くしないために、何ができて、何をしない方がいいのかを整理することが大切なケースでした。

縮毛矯正後に内側と毛先のチリつきが出ている施術前のバック写真

来店時の状態

ご来店時は、後ろから見ると一見アイロンで頑張って整えているように見える状態でした。

ただ、内側をめくると、襟足・耳後ろ・顔周りにかなり強いチリつきがありました。

乾いている時の質感は、ザラザラ、ガサガサ、スカスカ。

お客様ご自身も、アイロンを入れると引っかかる、コテがうまく挟めない、内側がもじゃもじゃしてしまう、と感じていました。

特につらいのは、表面だけならまだ隠せても、結ぶと内側が見えてしまうことです。

下ろして隠すしかない。

でも下ろしていても、触るとガサガサする。

温泉や旅行、人に会う予定がある時ほど「どうしよう」と思ってしまう。

髪の悩みは、見た目だけではなく、予定や気分まで変えてしまいます。

襟足の内側に出ているビビリ毛と切れ毛の状態

なぜこういうことが起きるのか

縮毛矯正でこのような状態になる理由は、一つではありません。

ただ、今回のように前髪・顔周り・襟足に強く出ている場合、かなり大きな原因として考えられるのが、髪の場所ごとの体力差です。

髪は、全部同じ強さではありません。

後頭部のしっかりした髪。

表面のカラーやアイロンの影響を受けている髪。

前髪や顔周りの細い髪。

もみあげや襟足の、産毛に近い弱い髪。

白髪のように硬く反応しにくい髪。

これらが同じ頭の中に混ざっています。

縮毛矯正は、薬剤と熱を使う施術です。

クセが強い部分を伸ばそうとして薬剤を強くすると、弱い部分には強すぎることがあります。

逆に、弱い部分に合わせると、強いクセは伸びきらないことがあります。

ここが縮毛矯正の難しさです。

今回のように「チリチリしているのに、クセも伸びきっていない」という状態は、弱い毛は薬剤や熱に耐えられず傷み、強い毛はまだクセが残っている可能性があります。

つまり、単純に「薬が弱かった」でも「薬が強かった」でもなく、髪の中の部位差に対して、薬剤や熱の設計が合っていなかった可能性があります。

特に危ないのは、顔周りと襟足です

前髪、もみあげ、襟足のヘムラインは、もともと髪が弱いことが多い場所です。

ここは、同じ薬を同じ時間置いたとしても、後ろのしっかりした髪より早く反応してしまうことがあります。

また、前髪は普段からアイロンを入れることが多い場所です。

襟足やもみあげは、短い毛、細い毛、すかれている毛が混ざりやすい場所です。

そのため、全体を同じ薬剤で一気に処理すると、弱い毛だけが先に限界を超えてしまうことがあります。

縮毛矯正は「全体に同じものを塗れば同じように綺麗になる」施術ではありません。

髪の強さ、履歴、クセの強さ、濡らした時の反応、熱の入れ方まで見ていく必要があります。

ビビリ毛は、薬剤で元の髪には戻りません

ここは、とても言いにくいところですが、正直にお伝えしなければいけません。

すでにビビってしまった髪は、薬剤やトリートメントで元の健康な髪に戻るわけではありません。

トリートメントで手触りを良くすることはできます。

アイロンで見た目を整えることもできます。

補修成分を使って、毎日の扱いやすさを上げることもできます。

でも、それは「髪が完全に治った」という意味ではありません。

もしここで「直せます」「元に戻せます」と言ってしまうと、お客様は期待してしまいます。

そして、もしさらに悪くなったら、もっとつらい思いをすることになります。

だからHairUnknownでは、ビビリ毛に対して簡単に「直せます」とは言いません。

突き放したいわけではありません。

むしろ、これ以上悪くしないために、できることとできないことを分けて考える必要があります。

濡らした状態で内側の体力とビビリ質感を確認している写真

今回、全体の再矯正を急がなかった理由

お客様としては、本当はその日に縮毛矯正で何とかしたかったと思います。

毎日困っているので、早く直したい。

その気持ちは本当に自然です。

ただ、今回の髪は、すでに弱っている部分がかなりありました。

特に襟足や顔周りは、薬剤をもう一度つけること自体が怖い状態です。

再矯正をすれば、少しうねりが取れる可能性はあります。

でも、同時に、さらにガサガサになる可能性もあります。

切れる可能性もあります。

ここで大切なのは、今すぐ全部を直そうとしないことです。

まず、これ以上悪化させない。

その上で、今日から人に会える状態、会社に行ける状態、鏡を見るたびに落ち込みすぎない状態を作る。

この順番で考える方が、結果的に髪を守れます。

落としどころとして選んだのは、前髪の縮毛矯正でした

今回、最終的な落としどころとして選んだのは、前髪の縮毛矯正です。

本来であれば、何も施術せずにお帰りいただくという選択もありました。

なぜなら、一つ現実的な可能性としては、ヘアビューロンのようなアイロンを使って、日々の仕上げで見え方を整えていく方法があったからです。

ヘアビューロンは高額です。

余計なお世話かもしれませんが、今回の施術代をその購入費に回していただいた方が、長い目で見るとお客様の負担が減る可能性もあると思いました。

でも、お客様の心理としては、何もしないで帰るわけにもいかない。

トリートメントだけで本当に収まる保証もない。

何か一つでも、今日変わったと思える場所がほしい。

そういう気持ちも、すごく自然だと思います。

その中で、僕が一番気になったのが前髪でした。

前髪の根元にクセが残り、毛先だけ強く効いてまとまりにくくなっている施術前の写真

前髪は、女性にとって本当に大切な部分です。

少し大げさに聞こえるかもしれませんが、前髪は女性の命と言ってもいいくらい、印象も気持ちも左右します。

今回の前髪は、根元には縮毛矯正がしっかりかかっていないのに、毛先には強くかかっていました。

根元はうねる。

毛先はビンビンに硬くなって跳ねる。

だから、まとまらない。

この状態を見た時に、僕はここだけは何とかしてあげたいと思いました。

もちろん、無理はできません。

髪の体力を確認して、濡らした時の反応を見て、どこまでならできるかを考えました。

その結果、全体を綺麗に直すことはできない。

でも、前髪を少し曲げること、柔らかくまとめることなら、何とかいけるかもしれない。

そう判断して、前髪だけの縮毛矯正をご提案しました。

お客様としても、襟足などのチリつきは結んでしまえば隠せるかもしれない。

でも前髪は隠しにくい。

前髪だけでも何とかなるなら助かる、ということで提案を受けてくださいました。

前髪縮毛矯正後に根元と毛先の差をなじませ、柔らかく落ちる状態を確認している写真

今回やったこと

今回は、全体を無理に攻めるのではなく、髪の状態を確認しながら、補修処理と質感調整を中心に進めました。

そして、落としどころとして前髪の縮毛矯正を行いました。

目的は、まっすぐに伸ばすことではありません。

根元のうねりと、毛先のビンビンに硬い動きの差を少しでもなじませて、前髪が柔らかく落ちる状態に近づけることです。

全体には、補修系の処理剤を重ね、乾かした後にアイロンで面を整えました。

ここで大切なのは、アイロンを強く挟まないことです。

ビビリ毛は、強く潰すほどさらに負担がかかります。

アイロンは髪を押しつぶす道具ではなく、整えた状態に熱をやさしく通す道具として使います。

補修処理とアイロン後に中間から毛先の見え方を整えた仕上がり

仕上がりについて

仕上げ後は、来店時のもじゃもじゃした印象や、内側のガサガサした見え方がかなり落ち着きました。

前髪も、ビンビンに跳ねる感じではなく、柔らかくまとまりやすい状態まで持っていくことができました。

周りの部分も、乾かしただけの段階で手触りが違うと感じていただけました。

もちろん、これで髪が完全に治ったわけではありません。

シャンプーをすれば、また質感は戻る部分があります。

ただ、補修処理をして、しっかり乾かして、軽くアイロンを通せば、日常で見える状態はかなり作れることが分かりました。

これは、お客様にとって大きいと思います。

「もうどうにもならない」と感じていた髪でも、明日から少しでも外に出やすくなる。

人に会う時に、少し気持ちが楽になる。

最後に、家でどうアイロンを入れるかも実際にお見せしました。

その仕上がりを見て、お客様が「これなら充分ごまかせる」と感じてくださり、来店されてから初めて笑顔が見えました。

この瞬間が、今回の一番大きな意味だったと思います。

お客様としては、アイロンをしても、ブローをしても、自分の髪はもうどうにもならないと思っていたはずです。

そこに、何とか希望の光が見えたのではないかと思います。

仕上げはアイロンをした結果です。

でも、このような状態になったお客様が、アイロンを使っても、トリートメントを使っても、何でもいいから綺麗になりたいと思うのは自然です。

その願いに対して、僕の経験の中でできる最善の提案をして、今回は叶えて差し上げられたのではないかと思います。

仕上げアイロン後に面と艶が整い、日常でごまかせる見え方まで持っていけた状態
トップから表面の艶が見える仕上げ後の状態

完璧に治すことはできなくても、毎日を少し楽にすることはできます。

仕上げ後に面が整い、艶が出やすくなった状態

これから一番大切なこと

ここから大切なのは、髪を入れ替えていく時間をどう過ごすかです。

ビビリ毛になってしまった部分は、根元から新しい髪が伸びて、少しずつ切っていくしかありません。

ただ、その期間をずっとつらい気持ちで過ごす必要はありません。

ホームケアで守る。

アイロンを安全に使う。

カラー周期を伸ばす。

白髪が気になる場合は、カラートリートメントでつなぐ。

毛先は少しずつ切る。

根元が十分に伸びたら、新しく伸びた部分だけを慎重に縮毛矯正する。

この順番で考えていきます。

アイロンは、強く挟まない

今の状態では、アイロンを使わないと日常で整えるのが難しいと思います。

ただし、アイロンの使い方はかなり大切です。

絶対に避けたいのは、濡れたまま入れること、半乾きで入れること、ギュッと強く挟むことです。

補修系のアウトバスをつける。

しっかり乾かす。

冷たいところが残っていないか確認する。

コームで面を整える。

軽く挟んで、スーッと通す。

このくらいで十分です。

ビビリ毛は「伸ばそう」と思って強く挟むほど、余計に傷みやすくなります。

次回の縮毛矯正は、すぐではなく3〜4ヶ月後を目安に

今回のような状態で怖いのは、根元が少し伸びたからといって、すぐに縮毛矯正をかけ直すことです。

新しく伸びた部分が短すぎると、薬剤を塗り分けるのがかなり難しくなります。

どうしても既に傷んでいる部分に薬剤がつきやすくなります。

だから、次に縮毛矯正を考えるなら、できれば3〜4ヶ月くらい空けたいです。

根元がしっかり伸びて、薬剤を分けられる長さが出てからの方が安全です。

その時も、ビビリ毛になっている部分には基本的に薬剤をつけない考え方になります。

カラーも、できるだけ周期を伸ばす

白髪が気になると、どうしてもカラー周期は短くなりやすいです。

ただ、今の髪は薬剤を重ねるほど、次にできることが減ってしまいます。

可能であれば、カラーも2〜3ヶ月くらい空けたい状態です。

どうしても白髪が気になる場合は、自宅用のカラートリートメントで、顔周りや分け目だけをつなぐ方法もあります。

これは、髪を明るくするカラーではありません。

あくまで、白髪を少しぼかして、美容室で薬剤を使う回数を減らすための選択肢です。

髪を守るためには、美容室に来る回数を増やすことより、薬剤を使う回数を減らすことが必要な場合があります。

失敗後の髪で一番つらいこと

縮毛矯正の失敗後に一番つらいのは、髪そのものだけではないと思います。

「これから何ヶ月この髪で過ごすんだろう」

「また美容室に行くのが怖い」

「知り合いだから強く言えない」

「ちゃんと見てもらえなかった気がする」

「自分の髪が悪かったのかな」

そうやって、気持ちがどんどん沈んでいくことです。

でも、お客様の髪が悪かったわけではありません。

縮毛矯正は、髪の体力、履歴、薬剤、熱、塗り分けが合わないと、誰にでも起こり得るリスクがあります。

だからこそ、次に必要なのは、責めることではなく、今の状態を正しく知ることです。

そして、無理に直そうとしてさらに悪くするのではなく、今日から少しでも過ごしやすい方法を作ることです。

まとめ

今回のようなビビリ毛は、薬剤で完全に元へ戻せるものではありません。

でも、何もできないわけではありません。

今回の前髪縮毛矯正のような最小限の落としどころ、補修処理、アイロン、ホームケア、カラー周期の調整、段階的なカット、次回の慎重な塗り分け。

できることを一つずつ積み重ねれば、毎日の見え方は変えられます。

HairUnknownで大切にしているのは、できないことをできると言わないことです。

そして、危険な全体施術を実験のように行わないことです。

その代わり、今の髪でどう過ごすか、次にどう守るかを一緒に考えます。

縮毛矯正で失敗したかもしれない。

ビビリ毛になってしまったかもしれない。

そう感じている方は、すぐに薬剤を重ねる前に、一度ご相談ください。

まずは髪を見て、触って、濡らした時の状態を確認して、今できることと避けた方がいいことを正直にお伝えします。

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